黄泉平坂(よもつひらさか)

 東出雲町揖屋(いや)には、黄泉平坂(よもつひらさか)という場所があります。ここはこの世と黄泉の国(よみのくに⇒死者の国)との境(さかい)だという言い伝えがあります。大きな石によりその入り口がふさがれていると言われてます。

 これについての物語はおもしろいのですが、長くなるので、以下、関心(かんしん)のある人だけお読みください。

 大昔、イザナギミミコト(男神)、イザナミノミコト(女神)という夫婦(ふうふ)の神様が地上におり立ち、この日本のいろいろな島や、多くの神をうみました。しかし火の神をうんだ時、イザナミノミコトは大やけどをして死んでしまいます。それをなげき悲しんだイザナギのミコトは死者の国である黄泉(よみ)の国に彼女を探しに行きます。
 そこで二神は黄泉の国の御殿(ごてん)で、とびらごしに再会(さいかい)しますが、この世にもどってほしいというイザナギノミコトの申し出(もうしで)に、イザナミノミコトは黄泉(よみ)の国の神と相談(そうだん)する、待っている間に私の姿(すがた)を見てはいけない、と言いました。しかし、待ちくたびれたイザナギノミコトはのぞきこんでしまいます。そこには腐って(くさって)恐ろしい(おそろしい)姿(すがた)になったイザナミノミコトがいました。見られたことを怒った(おこった)イザナミノミコトはヨモツシコメという鬼女(きじょ)にイザナギノミコトをおそわせます。
 イザナギノミコトは逃(に)げながらかみの毛をしばっていたブドウのつるを投げます。するとブドウの木が生え、ヨモツシコメはその実を夢中(むちゅう)で食べて追いかけるのをやめました。しかし食べ終わるとまた追いかけてきました。
 そこでイザナギノミコトはかみの毛にさしていた竹のくしを投げました。するとタケノコが生え、ヨモツシコメはそれを夢中(むちゅう)で食べて追いかけるのをやめました。 

 
 この様子にしびれをきらしたイザナミノミコトは今度は自分自身で追いかけてきました。もう、追いつかれたとイザナギノミコトが思った瞬間(しゅんかん)、イザナギノミコトはこの世と黄泉(よみ)の国の境(さかい)に達しました。 
 そこに一本の桃(もも)木が生えていました。そこで桃の実をヨモツシコメやイザナミノミコトに投げつけました。桃(もも)の実には不思議(ふしぎ)な力があると、昔(むかし)の人は信じていました。その実おかげで彼らは追いかけることができなくなりました。そこでイザナギノミコトは大きな石で境目(さかいめ)の穴(あな)をふさぎました。
 イザナミノミコトは言います。
「いとしい夫よ、あなたがそんなことをするなら、私はあなたの国の人を一日に千人殺しましょう。」
イザナギノミコトは答えます。
「いとしい妻よ、それなら私は一日に千五百人産みましょう。」
これが夫婦(ふうふ)の神様の別れとなりました。

 このあと、有名なヤマタノオロチの物語に続くのですが、それについて興味(きょうみ)のある人は本で読んでみてください。
 

22:27 神門誠司 画像

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